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クラウンのホーシングを移植する

Tag: JZX70G

フロントには立派な4ポットキャリパーと5穴ハブが入っているのですが、リアはドラムの4穴のまま。
いくらなんでもコレは殺生だし、やはり4輪ディスクと対向キャリパーはスポーツカーの証なのである。チョットマテ・・・
そこで、なんとかしてリアディスク&5穴ハブに出来ないか・・・と、無謀なチャレンジをやってみました。

拘りたい部分はディスクブレーキ化と

PCD114.3X5H化

です。
単純にディスクにしたいだけなら、GX70Gのドラム抜いて、何かのバックプレート移植の方が間違いなく早いです。

正直言ってこれはワタクシの

オナニー

でして、コレにしたからと言ってメリットは無いでしょう。(^^;

ちなみにこの作業はかなり前にやったんですが、今コレ書いてる現在、さすがに手順とか詳細に覚えてないので、要点だけサクサクっと書いておきます。

まず5穴&ディスクにする為のホーシング選び。

車名ブレーキ備考
80系マークII3兄弟の1800ドラムマゴソに比べ若干トレッドが広い。ディスク移植加工要
100系ハイエースドラムデフが8インチになる。しかしトレッドが広い。ディスクの移植も必要
TCR10Wエスティマディスク5穴でディスクなんだけど、トレッド広過ぎ
TCR10Gエスティマルシーダディスクエスティマのナローボディだけど、それでもトレッドが広い。しかもリアディスクでホーシングというクルマは結構レアみたい。
GS130クラウンセダンディスク5穴でディスクでトレッドも近いんだけど、なにせ非常にレア。大昔のS110とかS120の一部、S130系セダンの2000ccのハイヤーなんかに使うグレードに存在するようだ。

もちろん全てにおいて壮絶な加工が必要なんだけど、その中でナロー加工せずに使えそうなのはクラウンとルシーダ辺り。
必死コイて、アルバイトの

職権乱用

で、解体屋の全国ネットを使いルシーダのディスク仕様を探してみたけど、どうしても見つからない。
そこでクラウンで探しまくってみたら・・・ありました!
値段もお手頃だったんで即注文。
それと同時に比較&ドナーとなるGX70Gのホーシングも注文しておいた。

さて、届いたGS130ホーシングを検討してみる。

IMG_4835.jpg

手前がGS130ホーシングで、奥がGX70Gホーシング
既に片方アクスル抜いてるけど気にしない。
GX70Gに比べ、GS130ホーシングのぶっちゃけ何が違うかと言うと・・・

  • ディスクブレーキである
    見りゃわかるっちゅーか、コレにしたいが為に選んだワケですが。
    しかし小っちぇ〜んだよなぁ。
  • トレッドが若干広い
    正確な寸法忘れたけど、確か2〜3センチ程度広かったかな?
  • ハブベアリングがデカい
    これは決定的。コレは熱い。
    IMG_4829.jpg IMG_4830.jpg~ というか、GX70Gが異様に小さいというべきだろうか。
    ちなみにこのアクスルシャフト、ベアリングの位置がGX70Gに近いのと、ベアリング部の内径とスプラインは一緒なので、上手く辻褄合わせればGX70Gのホーシングに流用出来る・・・かも。
    どちらにしてもブレーキ側は完璧やり直しになりますが。
  • ブラケット類が全く違う
    コレが大問題なワケですわ。
    IMG_4835_0.jpg
    共通して使える場所はコレっぽっちもございません。
    今回のポイントは、コレの移植が出来るかどうか。
  • オイルブリーザーの位置が逆
    検討してる時は大丈夫だろとか思ってたけど、最終的に出来上がって使ってたらデフ上のマフラーだと当たってマフラーに穴開きます。(^^;
  • デフケースは一緒
    若干違うように見えるけど、部品番号では共通。
    IMG_4836.jpg
    そのまま流用可能。
  • ホーシングの太さは一緒
    これが重要。
    この太さが違うと、ブラケット類移植じゃなく作り直しになる。
  • サイドブレーキのワイヤーの取り回しが全く違う コレが想定外でした。
    IMG_4834.jpg
    GX70Gは各ドラムから1本づつ出て*1、サイドブレーキレバーの付近で1本になるんだけど、GS130はホーシング中央寄りにリンクがあって、そこで左右のドラムのワイヤーを引く。
    そして車側には1本しかワイヤーが出ない。
    まあなんとかなるだろ・・・*2

てなモンで、まずはGX70Gのブラケットの移植。
一行で書ける言葉だけど、まあコレが面倒なワケですわ。
手順としては、GX70Gのホーシングの全てのブラケット位置を複写する治具を作る。
まずデフケースが双方共通な部分に目を付け、この部分を双方の基準とする。

IMG_4899.jpg

本当ならホイール取り付け面を基準にしてやるのが正解なんだけど、このやり方でも十分必要な精度出るハズ。
だって、実際クルマに付けたらゴムのブッシュで動きまくる=それだけズレてもクルマは走るんだから。(笑
そして、各ブラケットの位置を、純正のアームとかアングルを使い、治具に転写して行く。

IMG_4953.jpg IMG_4954.jpg

IMG_4955.jpg IMG_4956.jpg

そして完成した治具。

IMG_4957.jpg

IMG_4958.jpg

何も考えずに溶接してたら、作業が終わってホーシング外そうとしても抜けなくなるので、その点を考慮して着脱式にしなければいけない箇所も出てくるので注意。

GX70Gのブラケット位置をコピーしたら、おもむろにホーシングを切り刻む。
もちろんブラケット類を摘出する為だ。
更にGS130のホーシングのブラケット類を撤去して、生ホーシングを作る。
この作業は正直しんどい・・・ガス切断機とディスクグラインダーでひたすら切っては削り切っては削り・・・

そして出来上がった生ホーシングを治具に乗せ、摘出したブラケットを固定し仮付け。

IMG_4960.jpg

こうやってピッタリ合うのを確認する。
苦労が報いられる瞬間である。正直

何か出そうになる位気持ち良い

のである。

位置が決まってしまえば溶接で仮付け。

IMG_4961.jpg

溶接して冷めると結構歪みで動くから、何度も付けて叩いて修正してまた付けての繰り返し。
仮付けが済んだら治具を撤去して本溶接&サイドのワイヤーも移植してとりあえず完成。

IMG_4962_0.jpg

この時はTIGも半自動も無かったのでアーク溶接。
結構度胸要りました。
そんなこんなでホーシング自体は完成。

IMG_5196.jpg

途中作業を中断していたので、サビ散らかしているのはご愛嬌。(^^;

さて、とりあえずブレーキが小さくても良いならブレーキ配管さえすればこのまま付けて使える。
しかし今回は日産2ポットキャリパー化が欠かせないのだ。
最初はクラウンローターのままorGX81辺りの大きなローターを移植してやればえっか〜くらいの軽い気持ちで居たのだが、ここで大問題が発生。
なんとクラウンのローターじゃ2ポットキャリパーのパッドが収まらない&インナードラム内径が、他のトヨタ車と共通するモノが見当たらなかったのだ。(--;
ここで流用出来るモノの大捜索したんだけど、その工程はバッサリ省く。
で、結局出たのは、

日産のローター付くんじゃね?

という無茶な結論。
というのは、日産のバックプレートごと移植も考えたけど、色々検討して結局難し過ぎる*3
そして、日産ローターとGS130ローターのベルの深さが殆んど一緒なのと、内径の差が確か1mm程しか違わなかったので、

誤差の範囲で収まるんじゃねぇか?

と。

IMG_5191.jpg IMG_5192.jpg

まあどうしても隙間が若干空くので、シューのRをサンダーで修正して、極力隙間を無くしてみたりもしました。

IMG_5200.jpg IMG_5201.jpg

結局無駄なあがきでしたけどね。(^^;*4
そしてGS130のハブセンターは、トヨタだけど一般的なトヨタの寸法ではなく*5日産よりも大きいんです。

一般的なトヨタFR60mm
GS13067mm
ニッサン66mm
車外ホイール73mm(外径)

で、ローターのセンターを旋盤で73mmに広げ、自作のハブリングをハブに焼き嵌めてセンター出すようにしてます。
ここであれ?と思った貴兄、とっても頭の回転が早いです。
本当なら1mmだけ削れば入るんですが、当時

何故こうしたのかを思い出せない

のだ。(笑
まああやふやな記憶を辿ると、実はクラウン「だけ」ハブセンターがデカいというのを

完璧に忘れて

おり、一般的なトヨタの60mmのつもりで検討し、市販の60mm→73mmのハブリングを使えるように、先にローターを73mmに掘ったんじゃないか?と。
で、ハブリング買ってきて入れたらエエ〜!みたいな事があったように思う。(^^;

で、とりあえず日産ローターが

完璧に付いた気がする

ので、2ポットキャリパーの移植に移る。
キャリパーの位置出しの為に、要らないタイヤインフレーターにブレーキホースを付けたモノを製作する。

IMG_5209.jpg

エアを入れたらキャリパーが締まってガッチリ挟み込み、しかもその状態で固定出来る。
そして圧力調整のリリースバルブ押したら開くという仕組み。
コレを使って固定しておき、キャリパーのオフセットブラケットの寸法検討。
まずは円周方向のオフセット量から。

IMG_5210.jpg

最初は適当な寸法で固定して、適当な寸法の型紙を作って確認し、そこから2度程作業を繰り返し、寸法を追い込んで最終的にはCADで正確な型紙作って検討。

IMG_5212.jpg

この型紙を基準に、今度は鉄板で型紙*6を作り、ローターとキャリパーのホイール方向へのオフセット量を計測する。

IMG_5216.jpg

ちなみにバックプレート側に、正規の取り付け方法でブラケット固定しても、逃げる隙間が無くなるだろうとの事で、裏側にカラー*7を挟み、そこから延長する格好にしてみた。
もちろん当時はフライス持ってなかったので、フライス無しでも作れるようにという配慮もある。

全てのオフセット量が決まったら、CADでキチンと設計してから製作。
材料は12mm厚*8のA2017板材。
これに青ニス吹いてから寸法をけがく。

IMG_5227.jpg

そしてボルト穴を開けて、ジグソーで切ってから削って整形し、旋盤でオフセットのカラーを製作。
ついでに

自家アルマイト処理

を施し出来上がったのがコレ。

IMG_5319.jpg

自家アルマイト処理はまた機会があれば紹介します。
完成品を付けた写真が見当たらないので製作途中の写真。

IMG_5224.jpg

なかなかカッコええでしょ?
で、サビサビのローターでは味気が無いのでローターを再塗装。

IMG_5306.jpg

ブレンボとかの2ピースに見えるように

ハッタリ

でゴールドに塗ったつもりが、耐熱のゴールドはゴールドというか、

むしろ黄色

でした。orz
ちなみに乾燥&焼付けに使ってるのは電気コンロ
じっくり暖めたいけど直火じゃダメって用途に便利なんですよコレ。
そしてキャリパー位置も決まったのでブレーキの配管。

IMG_5308.jpg

元々のGS130のパイプは、GX70Gと取り出し口が反対なので、加工するより作った方が早い。
銅のブレーキパイプは自動車部品商に注文すれば手に入る。
これに元々のフレアナットを入れて、フレア加工してやればOK。
パイプからキャリパーまでの間のホースは、確かCR30Gのフロント用だっけな?
そして、ニッサンキャリパーを他車種に流用して困るのがホースの取り付け方法。
元はフレアのソロバン玉が入ってて、一般的なバンジョーが使えない。
そこで、一般的な方法はバンジョーボルトを短く切って使う事が多い。
しかし、ソロバン玉が邪魔してかなり短くしないといけないので、切る時にバンジョーボルトの芯を大きめきりで軽く揉んで、テーパー加工してあげるとネジの長さを稼げる。
そして、元々銅ガスケットを使う設計ではないので平面に加工されていないから、オイルストーン等で平面を出してあげないとフルードが滲んでくる。

IMG_5311.jpg

ここで残すはサイドワイヤーの車両側加工。
詳細を載せても良いんだけど、結局GS130のホーシングにGS130のサイドブレーキだと

どう逆立ちしても使えない

んですよ。(^^;
というのは、左右を連結するワイヤーが、GX70Gのラテラルロッドのブラケットの真下に来るんです。
で、こういうクルマだから

絶対に車高下げる

でしょ?
するとストロークした時に、このワイヤーを引っ掛けて

仕舞いにゃ切れる

んですわ。(^^;;;
これは大きな誤算でした・・・で、結局ワイヤー切れて、対処策考えるも無理!と断定し、次の車検でノーマルに戻すまで

サイドブレーキ無し

で過ごしました。
で、コレ書いてる現在、バージョン1.5として対処策を練ってる最中?でございます。

あ、そうそう。
本当はリアディスクで構造変更取りたかったんだけど、車両課で色々相談してみたけど面倒なんですよね〜
元ディスクからディスクへの改造は大きくしようが小さくしようが簡単というか、そもそも

申請の必要すら無い

んですが、元ドラムからディスクへの変更は申請の必要がある。
で、ブレーキの種類の変更は地元の支所や事務所ではなく、支局扱いになるとの事。
それでも十分面倒なのに、強度検討書だけでなく実際にテストコースでブレーキテストする必要があるみたいで。
さすがにそこまで意地張れないので、

違法改造車決定

ですわ。
まあサイドは置いといて、普段の制動では元より遥かに効くワケで、俺ぁ自己責任で構わないじゃねぇの?と思うておりますが。

てなモンで、仕上げにシャシブラ塗ってドッキング。

IMG_5318.jpg

紆余曲折ありまくりで、なんとかリア対向2POT&5穴ハブ化が形になりました。

IMG_5323.jpg

苦労の割には報いられないこの組み合わせ、正直に

壮絶なオナニー

でございます。
単純にディスク化したいだけなら、GX70GのホーシングにS13とかのリアディスク&サイド内蔵キャリパーをブラケットだけ自作って付ける方が遥かに簡単&実用的でしょう。
5穴化だけなら市販の変換アダプター使うべきでしょうね。 もしくは車検要らない&荷室潰して良いのなら、日産車の

メンバー丸ごと

移植する方が同じくらいの苦労で遥かに報いがあるでしょう。(^^;


一行コメント

  • 参考になりました130のホーシングメチャ貴重みたいですね・・・(知ってるくせに)1UZスワップした人が涎たらして近付いてきます -- gs136van? 2007-09-11 16:33:25 (火)
  • FISCOを連続アタックできるブレーキが欲しい。70Gのホーシング持って行くんで、4穴114.3のハブ径60で1個作ってください。81GTのリアブレーキ移植でしょうかね。意地で公認取ります。報酬は樽生で。 -- Leclair? 2010-06-28 20:56:51 (月)
    • 樽生ktkr!!! で、サイド&キャリパーはどうします?俺様的にはインナードラム諦めりゃ、S13リアキャリパー移植でおkかと思います。上手くやれば、ホーシング自身は無加工でイケるかな?公認取る予定があるなら、どうしてもデータのある材料と加工方法にしないと、強度検討が面倒になりますからね。というかブレーキテストがどうなるか・・・ウチらのマーバンだと、紙の上での検討が通用しないらしく・・・(^^; -- しらいまさや 2010-06-30 20:15:56 (水)
  • でも、キャリパブラケットやらインナードラムのことを考えると、エミーナABS仕様のホーシングの方が楽かな。何とか4穴114.3にならんかな。 -- Leclair? 2010-06-30 23:26:23 (水)
    • ドラム内側にスペーサー入れても構わないなら、マーバンホーシングにウチのと同じ小エスティマ流用でおkかと思います。-- しらいまさや 2010-06-30 23:34:09 (水)


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*1 厳密には1本だけどカンジとして
*2 ならなかったんだけどね。(--;
*3 確か内部のパーツが干渉するのと、シューの固定ピン取り付けのブラケットを作らないといけない為
*4 今思いついたけど、シューのプレートに5箇所程切り込み入れて広げて、修正後再溶接・・・無理か。(^^;
*5 多分クラウンはオフセットが特殊なんで、そこらのホイール履かされてキャリパー壊されないようにするバカ避けかと
*6 紙じゃねぇけど
*7 現時点ではナット
*8 確か
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