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スピーカーボードの製作(と些細なウンチク

Tag: NA6CE

以前から使ってたスピーカーのエッジが、経年変質でボロボロに砕け散ってしまった。

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おかげでロクな音が出ないし、ボリュームを上げるとバフバフ言ってるだけ。
こりゃいい加減に直さんとな〜と、やっとこさ重い腰を上げた。
とりあえずなんか手頃なの無いかな〜と探してみた所、丁度良さげなアゼストのスピーカーが見つかったので取り替えてみた。
ん〜エエ具合に収まったなと、フタを戻して見た・・・つもりがハマらない。
今回のも写真と同じ1軸2ウェイなんだけど、ちょっとだけツイーターが出っ張っていて、 フタが閉まらないのだ。
こりゃアカんわと別のを探したがロクなのが無い。
う〜んこうなったらこのスピーカーをどうにでもしてつけてやらんといかんようだ・・・

てなモンでスピーカーボードを作るのである。
今度のスピーカーは純正ジャストフィットモノではなく、汎用のスピーカーなのでネットが付属してるのだ。
だから純正のフタ部分に板を張ってしまい、ソコにスピーカーをネジ止めしてフタすりゃ問題無いのだ。

何も板なんぞこしらえなくても、純正のカバーに穴開けてつけりゃいいじゃないかって声も聞こえそうだが、それは

甘ぁあい!甘過ぎるぅ!!
そんな奴には甘口カレーを御馳走だ!!

スピーカーがどれほどの馬力を持っているかをご存知だろうか?
例えば40Wのモーターがあるとしよう。
ソレを薄っぺらいプラスチックの板にテキトーに付けて回したらどうだろうか?
なんか頼りないでしょ?
スピーカーってのは40W・・・アンプ次第では100Wだの

1KWだの

を消費するリッパな動力なのである。
40Wと言えば

便所の電球が楽勝で灯る程

のパワーを持っているのだ。(何がや

しらい理論だと完全に電波入ってるからマトモに説明しよう。
スピーカーから音が出る原理を知ってるだろうか。
コーン紙に電磁石と永久磁石ひっつけて、音声信号流せば磁力が発生し吸引、反発してコーンを振動させ、空気を震わせて音に変換するのだ。
ただその振動が微々たるモノならいいんだけど、実際はかなりのパワーで振動してるのだ。

スピーカーで実際に音楽を鳴らすとしよう。
その音楽にはベースやドラムなどの低音がありますわな。
その低音が例えば100Hzの音としよう。
その100Hzの音をスピーカーで鳴らすにはコーンを

1秒間に100往復

させるワケである。100往復でっせ100往復。
しかも低音ってのは空気を伝わり難いから大きな音で鳴らす必要がある。
ということはコーンのストロークもかなり大きいのである。

モノには慣性というモンが働くという当たり前の事を思い出して欲しい。
いくらスピーカーのコーンが軽いと言っても、1秒間に何十〜何百往復もするワケだ。
コーンに掛かるGはかなりのモノになるし、その反発だって凄いのだ。

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こういう事である。
コーンには慣性が働いているから、コイツを動かそうとすればフレーム側も動こうとするのである。
コーンが10動こうとしても、フレーム側が2動いてしまえば合計8になってしまう。
大幅なロスになってしまうのだ。
更に余計な動きが出てしまうことによって、入力された信号に忠実に動かなくなるのである。
だからこのロスを出来る限り少なくする為には、十分な剛性を持ったトコロにガッシリつけてやらんといかんって事なのだ。

やたら前置きが長くなったトコで実際にモノをこしらえてみよう。
最近近所のホームセンターでMDFが安く売ってるので使ってみるとしよう。
MDFってのは、木の粉末を樹脂で固めて板にしたモノである。
よ〜するに製材などで出た木クズ、

いわゆるゴミ

を接着剤で固めたモンなのだ。
いや、樹脂100%だと材料費が掛かるので木屑でカサ増し・・・いや、深読みはヤメよう。
そういったモノだからして、反りなどの変形が殆ど無く、軽く硬く加工し易く値段も安いのである。
まずはジグソーで元々のフタの寸法に合わせてカットする。

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そうそう、今回はジグソーを使ってるけど、MDFは本当に加工し易いから、 その気になればカッターナイフでも切れる。
でもやっぱり最近安いから、工作好きならジグソー程度は買っておいても損はしないと思う。
そして一度ガムテープで仮止めして、ドアが閉まるかどうかの確認。(重要

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どうやら大丈夫らしい。
となれば早速本格的に作業開始だ。
この板にスピーカーを取り付ける為の穴を開けるんだけど、開ける位置を決めるのが難しい。
で、こんな荒業を使ってみた。
まず元々のフタのネットをマイナスドライバーでコジり取ってしまう。

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で、コイツを切り出した板に乗っけて、中心をブスリとけがいてしまう。

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これで間違い無く確実な中心が取れるって寸法だ。
あとはドアパネル側の穴の直径を、コンパスを使ってけがいてやるだけ。
で、ドリルで適当な下穴を開けジグソーの歯を突っ込んでザクザク切ってやる。
もう殆ど形は出来てしまった。

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ここまで来れば、ボディー側にフィットさせる策を練る。
元々のフタはプラスチックのフックで止まってるんだけど、コイツの穴を利用する事にしよう。
そうすりゃわざわざ穴を開ける必要も無いしね。

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そうと決まれば、こしらえた板を押し当てて、スピーカー穴から手を突っ込んで、 ドアパネルの裏側から直接けがく。
あ!一番下の端は袋になっててケガキもボルト止めも出来ない!
まあいいや。
ここらへんは素人作業の良い所。

3点止めでいいだろ。(ぉぃ

ボルトの穴開け位置が決まったら、早速穴を開けてやろう。
穴を開けたら表面に12ミリのキリで座グリを入れる。

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なぜかって?それは皿ネジを使うからだ。
なぜ皿ネジなのかと言うと、この安物板丸出しでは非常にカッコ悪い。
だからこの板に、内装と同じように黒の合皮を貼ってやるのだ。
で、皿ネジ使ってツライチにして、更に裏からナットで締め込んでしまい、 その上で皮を張って埋め殺しにしてしまえば表面はフラットになるのだ。

さて、上記の作業を行ってみよう。

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こんな風に、表面はフラットになる。
そして裏でナット止めしてしまえば、後は二度と緩めなくても済むワケだ。

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おっとっと、この時点で反対側の分の為に、コイツを型紙にして同じ物を複製しておこう。
ケガキ作業を大幅にカット出来る。

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んで皮を貼る前に見栄えを良くする為に、手前に見える方の角全部を削ってRをつけてやる。
カッターでザックリ削ってヤスリで仕上げる。
MDFはこういう作業が非常にやり易くてよろしい。
んで用意してた合皮だ。

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コイツは手芸用品店で入手。
いわば女の城とも言えそうな店に

薄汚れた作業服

で乗り込むのは結構恥ずかしかった。(^^;
んでそのコ汚い野郎が生地を広げて物色してる姿はかなり異様な光景だったかも。
例えるならキレイな服着た女の子が

エロビデオ屋

に乗り込んで、ブルセラだの盗撮だののビデオを

真剣に吟味

してるようなモンだよな。
けどおかげで800円程度で大幅に余るほどの合皮を入手出来た。

コイツを適度な大きさに切って、板に合成ゴムボンドを塗りたくり、シワを延ばしながら慎重に貼っていく。
俺貼りモノは苦手だけど、この合皮はかなり伸びるので思いの他シワも無くピッチリ貼れた。

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あとは好きなスピーカーを木ネジでバチコ〜ンとつけてやれば完成。
総制作費1500円にしては中々キレイに仕上がったではないか。

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そうそう、ついでにデットニングにも触れておこう。
スピーカーってヤツは、空気を押したり引いたりして音を出すってのは最初に触れたけど、 そこでもう一捻り考えてみる。
スピーカーの表側で10の空気を押せば、裏側では10引いてるのだ。
スピーカー単体で鳴らしてみたら良くわかるんだけど、 いくらボリュームを上げてもマトモな音が出やしないのだ。
前面で空気を押しても、裏側に回りこんで引っ張られて吸収され、 効率が極端に悪化してしまうのだ。
要するに全面で10の空気押しても、そのいくつかは裏側に回ってしまい、負の音で吸収されてしまう。
結果いくらパワーを掛けて空気を震わせても、

自分自身でプラマイ0

にしてるのである。

コレを防ぐには、単純に裏側の音を全面に出さないように遮断すれば良い。
理屈では無限大の壁にスピーカーをポンとつけるだけで良い。
しかしそんな途方も無い事は無理なので、現実ではハコで裏側の音を密封してしまう。
これがクロージャーなのだ。
コレで基本的にスピーカーは100%の音を出す事が出来るワケだ。

ちょっと余談だけど、コスト重視のセコい車・・・アルトだとかはダッシュボードにスピーカーが

張り付いてるだけ

で、クロージャーを構成する部分が一切無いのだ。
だからロクな音は出ないし、いくら高級なスピーカーをつけても無駄なのだ。
反面気の効いた車・・・特にトヨタ車は、フロントドアのスピーカーにちゃんと

立派なクロージャー

がついてるのだ。
純正コンポ&スピーカーでもかなり良い音する理由はコレだ。

とまあ、小難しいコトをコネて見たけど、デットニングの方法は

とりあえず穴を塞げ!

コレだけだ。

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ドアパネルには作業用の大穴やボルトの穴が無数に開いている。
こいつをとにかく塞ぐのである。
本職のインストール屋は制震を兼ねて鉛シートを使うが、コレって買うと結構高い。
てな訳で俺の場合は拾ってきたアルミテープである。
余りにも大きな穴は、テープでは剛性がゼロなのでアルミ板を使った。
漏れを無くす為に

窓の隙間風防止テープ

を貼った上で取り付けてあるのがミソだ。
いくら見てくれ悪くても、最後には内装を取り付けるので一向に構わない。
こんな大雑把な作業でも

効果はバツグン(マj

である。
最初に感じるのが低音のキレの良さ。
ボーボー言ってただけの低音に締まりが出て、ベースの音程までキッチリ判るようになる。
そしてパワーが入るようになる。
ノーマルのままだとスピーカーがバキバキ言うだけでマトモにボリュームを捻れないが、 コレをやる事によりガンガンボリュームを捻れるようになる。
どのくらいの低音が出るようになるか具体的に言えば、以前つけてたアゼストの30W×4出力のデッキだったのだが、ボリュームフルで

マトモに聞ける

のだ。
現在つけてる80Wのサブウーファーより数倍マトモな低音が出ていたのだ。
まあ今はL200ミラについてたCDデッキで、20Wしか無いからロクな音出ないんだけどね。(^^;
とまあ、何も細工無しに高級スピーカーをつけるよりも、 ノーマルスピーカー+デットニングので余程マトモな音が出るハズだ。

予算に余裕があるのであれば、チョット大きめのオートバックスなんかでも売ってる制震シートを、 ビビリの出る所に貼ってやれば尚良し。
更に言えばスピーカーケーブルを純正配線を使わずに太めのOFCケーブルを新規に張るのも効くだろう。
更に電源ケーブルも5.5sq程度でバッテリーから直に引いて来るのが理想。
標準的な30W×4のデッキでも

10A以上の電流

を必要とするから、純正ハーネスのヒモのようなので耐えられるワケはないのだ。

とにかく手軽に安価に出来て、効果はバツグンだからぜひチャレンジしてみて欲しい。


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