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ワゴンRでリアキャンバー

CT21SワゴンRは、構造的にリアキャンバーが付けられない。
どうしてかと言えば、リアがリジットアクスル・・・ぶっちゃけて言えば左右の車輪が1本の棒で連結されている。
もっともっとぶっちゃけて言えば、昔図工の時間に作ったクルマの、

竹ひごに牛乳瓶のフタ刺したアレ


なのだ。
だからどうやってもキャンバーとトーはゼロになる。
リジットアクスルやトーションビームの場合でも、一部車種ではスピンドルが分離してて、スペーサーを入れればアライメント調整が可能な物もある。
しかしワゴンRは、横に走るアクスルに、スピンドルが溶接されている。
これはもうどうにもならない。

しかし世の中には、その不可能を可能にしたワゴンRが実在するし、そういう商品も売ってる。
コレを彼らがどう実現したのか・・・やはり一度切断し、角度を付けて溶接するしか無いのである。
中にはアクスルの真ん中辺りで1カ所だけ切るか

ヘシ折る

事で実現したクルマも存在するが、やはり基本的には切って繋ぐしか無い。
コレを俺が実現するとすればどうやるかってなモンで、知恵を絞ってやってみた。

まずキッカケは、ワゴンRカスタムに情熱を注ぐウチのお客さんの話。
ワゴンRに15インチ6.5Jのホイール入れて、

ハの字

を切ってみたいんやけど、ワゴンRってキャンバーはどないやって付けてんのって話になり、上のような屁理屈をコネた上で、ふと頭を過ぎった方法をベースに、まあ簡単に出来ん事無いよと返事をしてみた。
んで後日、廃車のワゴンRを使って実験してみたのだ。
簡単な方法とはこうだ。

plan1.png

確かにコレで比較的簡単にキャンバーは付くのだが、ベタベタの車高でハの字を切るくらいまでキャンバーを付けると問題があるのだ。

problem1.png

目標とするキャンバーが

8度

というのが大問題で、CADで検討してみた結果、35ミリ程内側に移動する。
この数値はノーマルホイールでもブチ当たるし、そこに6.5Jのホイールなんてどう逆立ちしても履けるワケがないのだ。
もちろんホイールオフセット値を小さくするか、ワイドトレッドスペーサーで逃げれば大丈夫。
しかし35ミリものスペーサーを付けると、ハブへの負担もあるし、なによりも高い。
今あるオフセット+40辺りのホイールをスペーサー無しに履けるようにするには、アクスル加工時になんとかしておく必要がある。
てなモンで、かなりの大加工に発展したのであった・・・

てなモンで、今日は疲れたんでエエ加減寝ますわ。
続きは後日・・・


さて続き  - 2006-07-24 05:11:03 (月) -

さて、大加工とは何か?
それはもちろん

ブッタ切って継ぎ足す


のである。
おれも相当悩んだけど、ヘタにスペーサー入れるよりもこちらの方が安心ではないか?と。
それとこういう加工を行って、本当に大丈夫なのかを実証する

人柱


でもあるのだ。
てなモンで中古のリアアクスル一式を用意し、ロアアームのブッシュを切り刻んでリテーナをほじくり出してアスクルに固定。
そしてH綱の上に適当な角パイプを置き、その上にアクスルを置いて溶接にて固定。
更にスピンドルのセンタ穴が、H綱のセンタ上に来るように調整してシャコ万で固定。
今後作業を進めて行く上で、H綱の上面が基準となる。

PAP_0178.jpg

PAP_0173.jpg

撮影の都合で片方もう切ってしまってるけど、実際に切る前に元位置と高さをH綱上面にマークしておく。
んでもっておもむろにスパっと切ってしまう。

PAP_0180.jpg

次に、鉄板とアングルを組み合わせて、角度を付けたまま平行移動出来るような治具をこしらえてやる。

PAP_0179.jpg

先にも書いたように、極端にキャンバーを付ける事により、タイヤ内角が純正位置より35mm程内側に入ってしまうのだ。
そこでタイヤの内角が純正位置に来るように、CADを使って外側&下側にオフセットすべき寸法を割り出しておいて、その位置まで切り離したスピンドルをスライドさせてあげるワケだ。
そして空いた隙間に、鉄板で作ったスペーサーを入れて溶接してしまおうという魂胆。
再度角度とスピンドル高さを確認・・・うん、キッチリ角度出てるようだ。

CA310155.jpg

更に確認。
CADで割り出した、作るべきスペーサーの寸法を印刷して型紙を作り当ててみる。

PAP_0177.jpg

うん、文句無し!
早速スペーサーの製作に入ろう。

CADで寸法は出てるので、6ミリ鉄板を使って箱形のスペーサーを作る。
鉄板にケガいてディスクグラインダーに切断刃を付けて切断。
さすがに6ミリだとジグソーじゃ辛いし、ガス切断だとキレイな寸法が出ない。
そしてコイツらを、キチンと直角出して溶接してやる。
今回はTIGでやる&構造上スペーサーの片面は、両面溶接が出来なくなるので、出来るだけ深く溶けるように開先を開けておく。

CA310156.jpg

CA310157.jpg

こうして出来上がったゴツいスペーサーを、慎重に仮付けして行く。
そして再度狙った位置に来ているのを確認し、補強を入れて全周本溶接。

CA310161.jpg

CA310163.jpg

溶接で剥がれた部分にシャシブラを吹いて完成。

CA310165.jpg

そしてワゴンRに付けてみる。

CA310171.jpg

CA310169.jpg

ほぼ純正寸法のホイールだと、キッチリ狙った位置に来てくれた。
正直快感である。
一応外側にオフセットした分で、ブレーキパイプが足りなくなるので、途中で切断して延長してある。
本当は銅パイプで作り直す気だったんだけど、こういう肝心な時にパイプが見つからず急遽延長した。
まあ延長完了した直後に、銅パイプ見つけたのは秘密だが・・・orz
さすがに8度もキャンバーを付けると、パッと見で

壊れているようにしか見えない


程のド迫力だ。(笑
そしてどうしても履かせてみたかったというSSRプロフェッサーの15インチ6.5Jを履かせてみる。

CA310168_0.jpg

あれ?おかしい・・・思いっきりハミ出した上に、フェンダーアーチがタイヤに乗ってるじゃぁないか・・・
よく話を聞いてみると、なんとこのホイール、オフセットが+25程あるらしい。
お〜い!俺散々オフセット確認したやんけ!!
最初にその数字言うとってくれたらドンピシャに合わしたったのに!
まあフェンダーアーチを鈑金ワイド加工する予定だったんで結果オーライというトコか。

で、その後数日乗り倒した所、あまりにもの操縦性悪化で泣きを入れるかと予想してたら

めっちゃ普通で真っ直ぐ走る!
乗り心地もバツグンに良くなった!!


と喜びの言葉。
真っ直ぐ走るというのは当然というか意外というか・・・狙った寸法は間違いなく出てるけど、8度のキャンバーでマトモに走るのかと。(笑
さすがにタイヤの接地面積が半分以下になってるんで、雨の日にやんちゃするとスザーっと行ってしまうようだけど。
乗り心地が良くなったというのは、切りまくってシートにキチンと座って無かったスプリングを、ガスで温めて曲げて直しておいたからかな。
ホントはこんな事するべきじゃないんだけど、ロクに座ってなくていつ外れるのかわからないよりかはマシだろう。(--;
てなモンで結果オーライだった鬼キャン&ワイド加工、この先1年2年でも大丈夫かは様子見である。フフフフフフ

●一行コメント
  • 軸詰めてタイヤハウス加工してみたらどうですか? -- gs136van? 2006-07-08 07:39:45 (土)
  • 知り合いは、切った貼ったは強度が怖いと言ってプレスで曲げてましたよ。 -- ミカンマン? 2006-07-08 17:46:24 (土)
  • うは!ちょっとこっちをチェックし忘れてたらこんな大技を・・・(゚Д゚;) -- こもチック? 2006-08-05 02:10:22 (土)
  • CTワゴンRに乗ってた俺から言わせるとネ申。俺も家が姫路だったらなぁ(w -- こもチック? 2006-08-05 02:11:15 (土)
  • これでエアパンパンにして、デフいれてサイドひきまくりでジムカーナとかかっこよさげ。 -- おいちい。? 2006-08-05 07:56:25 (土)
  • Y!オークションに出すといいのでは。ディスプレイ用として -- ? 2006-08-16 21:57:30 (水)

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