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*電線の圧着と接続 [#f5b6f6a7]
車やバイクの電気系をイジる時には避けられない電線の接続と端子の圧着、皆さんコレをキチンとやってはりますか?~
日頃アルバイトで、素人さんや一部のプロのような人がイジり倒し、後に廃車になった車をバラしていて思う事です。~
とにかく処理が汚く、後先考えてなくて危険なのが多いんです。~
そこで僕が普段やってる接続方法の紹介や、悪い例なんぞを検証してみようと思います。~
これが正しい接続とは言いませんが、~
&256x(42){実績はある};
ので参考にしてもらえたら幸いです。~

さてまずはDIYerが良く使っているであろうギボシ端子。~
比較的安価に工具セット売ってるし、施工後の着脱も簡単で使いやすい。~
しかしこのギボシ、電線サイズと工具を選ぶというか、細い電線や安い工具を使うと抜けやすいという欠点があります。~
近年の車のハーネスは軽量化&最適化と言う名の~
&256x(32){ケチ};
が進み、電線がとっても細いんです。~
一般に売ってるキボシ端子の適正電線サイズは1.25sqe辺りかと思いますが、実際車に使われてるのは0.5〜0.75sqe辺りが多いです。~
良くイジられると思われるオーディオでは少ないと思いますが、場合によっちゃ0.3sqeとかも結構ゴロゴロあります。~
こういう細い電線をギボシで普通に圧着すると、まああっけなくスルリと抜けてしまうんですよ。~
だからって細い線用のギボシなんて見たことも無いのが正直なトコで、実際は騙し騙し使うしか無いんですけどね。~
まあここらを色々写真に撮ってみましたので参考になればと思います。~

&ref(joint1.jpg);~
&ref(joint2.jpg);~

コレが僕の使ってるオープンバレル・・・いわゆるギボシ端子の圧着ペンチ。~
ストレートで確か3〜4000円だったかな?~
一度で両方カシメれるようになってます。~
仕事でも使うんで一箇所づつチンタラやってたら間に合わないんです。~

&ref(joint3.jpg);~
&ref(joint4.jpg);~

で、コレがアルバイト先の100円均一カゴに転がってた圧着ペンチ。~
ホムセンで端子セット980円辺りで売ってそうな品物。~
まあ安物っぽいと言っても、ダイス部の肉も厚めでそう悪くはない方でしょう。~
コレより酷いのが良く廃車のトランクに殆ど新品状態で転がってます。(笑~

てなモンで適正サイズの1.25sqeを圧着してみました。~

&ref(joint5.jpg);~

圧着ペンチさえそれなりのモノを使っていれば、特に何も工夫せずに、これぐらいのレベルで決まります。~
しかしペンチが悪いと・・・・~

&ref(joint6.jpg);~
&ref(joint7.jpg);~

一見なんて事なさそうに見えますが、芯線側は奥までキッチリ噛みきってないし、被覆側は電線を噛み込まずに倒れ、重なって線を押さえてるだけです。~
上手く写ってませんが、裏側から見れば変形してバリが出てしまっています。~
まあこんなモンでもそれなりに使えるんですが、電線が細いとイチコロで抜けてしまうんです。~
キレイに決めるには、そのペンチのクセを掴むというか、何かツボがある事が多いんです。~
圧着前に少し端子を狭めるとか、内側に曲がるように形成してやるとかですね。~
あとダイス((圧着する部分))の内側にキズとかサビがある場合も、上手く滑らずに噛み込んでグチャグチャになってしまいますので、キレイに磨いておいてください。~
最初から良いペンチを買えとは言いませんが、安物は安物でそれなりのトライ&エラーと工夫が必要です。~
電気の配線をチョコチョコやるのなら、それなりのペンチを買った方が、失敗して端子と電線をゴミにする量も減らせる事でしょう。

さて次に、適正に圧着すればどのくらい強いのか・・・という事で、こんな事をやってみました。~

&ref(joint8.jpg);~

先程圧着したギボシ端子と電線で、大方20Kgはあろう重りを括って持ち上げてみました。~
キチンと圧着が決まれば、これぐらいは余裕です。~

&ref(joint9.jpg);~

本来はこれぐらい頑丈なギボシですが、ちょっと電線が細くなるとぜ〜んぜんダメなんです。~
一般的な太さだと思われる0.75sqeで色々圧着して、それを力一杯引っ張ってみました。~
実は引き千切る前の写真を撮ってたハズなんですが、ドコ探しても見当たらない・・・(^^;~

&ref(joint10.jpg);~

一番目は何もせずに普通に圧着したモノ。~
圧着部にどうしても隙間が空いてしまいます。~
引っ張ってみると割と強く付いていたのですが、やっぱり抜けてしまう。~
変に引っ張らない限りは大丈夫かとは思うけど、やはり心許ないんですよね。~

次に僕が普段やってる方法で、多めに被覆を剥き、芯線を折り曲げて厚みを稼いで圧着。~
これも手で引っ張ると抜けたというか切れました。~
芯線側圧着部にまだ芯線残っているのが見えますか?~
無理矢理引っ張れば抜けるのではなく切れてしまうんです。~
まあ結構頑丈な部類だと思います。~

3番目はダークホースの芯線ごと圧着。~
某巨大掲示板の車板DIYスレ346さんに教えていただいた方法なんですが、これがまた想像以上に頑丈でした。~
手では引き抜くのが辛いと思い、ペンチ2本で引っ張ったらなんと線側が千切れました。~

&ref(joint11.jpg);~

これは完璧な強度です。~
が、やはり正規の方法ではない、いわゆる~
&256x(42){裏技};
なので、用途を選んで使ってください。~
基本的に芯線の接地面積が減るので、大電流負荷には禁じ手かと思います。~
このサイズの電線で流れる電流考えれば問題ナシとも思ますが、まあその辺りを判断出来る人向けかと。~

最後に思いつきでやってみた2本一緒に圧着して1本を切るという方法。~
これは見た目はキレイに収まってたんですけど、実際の強度は1本締めと変わりませんでした。~
こりゃ使えん・・・~

ギボシはコレくらいにしときましょうか。~
次にアースなどに良く使う裸圧着端子。~
安価ですし、先のギボシの圧着ペンチを買えば大抵はオマケで圧着出来ますし、その気になればペンチでも十分圧着出来ます。~

&ref(joint12.jpg);~

これだけでも十分な強度がありますが、車みたいに振動が多くハーネスが動く可能性がある場合は一手間入れてあげましょう。~

&ref(joint13.jpg);~

このように熱収縮チューブを入れ、圧着部を保護&補強してあげるのです。~
これから何度も触れますが、こういう電線の接続でどこがウィークポイントかと言えば、~
&256x(42){端子と露出した芯線の境目};
なんです。~
被覆が付いてるウチは良いのですが、被覆が無いと柔らいので、曲げの力がモロに芯線に掛かります。~
更に圧着なり接続なりを行うと、芯線より硬い接続部と柔らかい芯線の境目に、曲げストレスが全て集中してしまうんですよ。~
そしてそのストレスが積重なりプッツリと切れる・・・これが振動や折り曲げで電線が切れるメカニズムです。~
コレの裸端子の例を出してみると・・・~

&ref(joint15.jpg);~

よくやりがちな失敗で、圧着部と被覆に隙間が空いている場合。~
被覆を剥き過ぎて圧着部より出過ぎる場合に、芯線切らずに帳尻合せるとこうなります。~
まあこれでも十分な強度はあるのですが、コレを折り曲げるとどうなるか・・・~

&ref(joint16.jpg);~

折り曲げのストレスは、一番柔らかい芯線剥き出しの部分に集中するんです。~
この折り曲げストレスが蓄積すると・・・とりあえず実験で、何度かコネ回してみるとこうなります。~

&ref(joint17.jpg);~
~
こうなると何が危ないのか・・・もちろん切れてしまうのもありますが、本当に怖いのは
&256x(42){切れる寸前};
なんですよ。~
芯線の半分も切れてしまうと、もちろん流せる電流は半分になってしまいます。~
例えば10A流れている線で芯線がハンパに切れて、半分以下とかになればどうなるかと言えば~
&256x(42){発熱して燃える};
んです。~
ある意味プッツリ切れてくれた方が余程マシなんですが、こういうのはジワジワと切れて行くのでとっても危ないんですよ。~
これを防ぐ為に、ギボシ等のオープンバレルは芯線を噛む部分とは別に、被覆を噛んで曲げストレスに対処するようになっています。~
裸端子の場合は、この隙間を無駄に作らないようにしなければいけません。~
そしてリングスリーブ接続、通常の絡げ接続でも、かならずテープを巻いたり、熱収縮チューブを使ったりして絶縁すると同時に、接続部分を補強して、折り曲げのストレスが掛かるポイントを、~
&256x(42){被覆部へズラす};
のが重要なんですよ。~

&ref(joint14.jpg);~

こうやって熱収縮チューブ入れるだけで、曲げストレスを接続部から被覆部へ逃がす事が出来るのが分かりますか?~
テープ巻きや熱収縮チューブの主な目的は絶縁ですが、こういう補強の意味もあるので心得ておいてください。~

次にギボシを介さない直接接続。~
まずはオーソドックスな絡げ接続。~
これは僕のやり方ですが、まず電線の被覆を多めに剥ぎ・・・~

&ref(joint18.jpg);~

2〜3回絡ませます。~

&ref(joint19.jpg);~
~
そして絡ませた上で、残りの芯線を捩ります。~

&ref(joint20.jpg);~
~
これで完成。~
たったこれだけでも凄く頑丈で、ここで無理矢理引っ張ると接続部が外れる前に芯線が千切れます。~

&ref(joint24.jpg);~

中途半端な圧着よりも頑丈ですし、ヘタにハンダで補強する必要もありません。~
むしろ中途半端にハンダ付けすると、接続部に
&256x(42){硬い部分と柔らかい部分};
を作ってしまう事になります。~
そして、その境目にストレスが集中してプッツリと切れたりするんです。~
外れないようにと思ってやったハンダ付けが、思わぬリスクを招くという事も覚えておきましょう。

そして、このままだとショートしてしまうので、テープを巻いて絶縁するワケですが、面倒だ不恰好だなんて理由で、テープ2回程しか巻かない人が多いんですよ。

&ref(joint21.jpg);~

まあ気持ちは分かりますし、絶縁出来ていればそれで一応問題無いのですが、テープの巻き数が少ないと、折り曲げストレスに対して弱くなるんです。~

&ref(joint22.jpg);~

繋いで芯線剥き出しの部分で折れているのが判りますか?~
接続部分に折り曲げストレスが入ると、どうしてもこの部分にストレスが集中するので切れ易くなります。~
だからこそ、面倒で不恰好でも、多めにテープ巻いて補強してやらねばならないんです。~

&ref(joint23.jpg);~

もっとスマートに絶縁&補強したいなら熱収縮チューブを使うと良いでしょう。~

次に僕が普段使ってる、ハンダ付けと熱収縮チューブによる接続方法です。~
エンジンスワップなんかでハーネスをイジる場合、何十、何百という電線を繋がねばなりません。~
その場合時間掛かるのは良いとしても、全て絡げ接続してテープをキッチリ巻き、その接続部を束ねると~
&256x(42){10倍近い太さ(当社比)};
になってしまうんです。~
そこでもっと素早くスマートかつ安全に繋げないかと、色々考えてやってるのがこの方法です。~
まずは芯線をチョットだけ剥く。~

&ref(joint25.jpg);~

こんなので本当に大丈夫か?と思うかもしれないけど、ハンダ付けは一種の溶接みたいなモンなんで、これで全然大丈夫。~
むしろ無駄に剥くと、ハンダ付けに時間が掛かる上に失敗し易いのだ。~
で、この芯線に~
&256x(42){予備ハンダ};
を施します。~

&ref(joint26.jpg);~

予備ハンダ、コレ
&256x(42){明日のテストに出る};
ので良く覚えておいてください。~
ハンダメッキとも言いますが、ハンダ付けで重要なのがこの工程でして、ハンダ付けを知らない人は、コレをすっ飛ばしてイキナリハンダを付けようとするから上手く行かないんです。~
電線をコテ先で温めつつハンダをチョンと付けると、まるで砂漠に水を撒いたようにハンダが吸い込まれて行きます。~
ハンダに慣れると2〜3秒で出来るようになるというか、コレ無しでハンダするのが面倒になります。~
で、2本とも予備ハンダを施し、先に切った熱収縮チューブを入れておきます。~
そして、コテ先にちょっとだけハンダを付けておき、2本を重ね合わせてコテ先でチョイとハンダを溶かすと接続完了。~

&ref(joint27.jpg);~

そして、先に入れておいた熱収縮チューブを接続部に移動し・・・~

&ref(joint28.jpg);~

%%ライター%%ドライヤーでサッと炙ると完成です。~

&ref(joint29.jpg);~

コレに掛かる時間は、僕で1本辺り概ね45秒くらいでしょうか?~
熱収縮チューブを事前に切っておくorカット済みの物を使えば軽く3秒、最近ワイヤーストリッパーを導入したんで、更に3秒は短縮出来ます。~
100本近く繋ぐとこの6秒は無視出来ません。(笑~
あと割と正確に接続長を合わせる事が出来るのも特徴でしょうか。~

さて、こんな接続法で本当に切れないのか?ですが、正直コレで切れたらお手上げだってくらいの強度は確保出来ています。~
まずは折り曲げですが、実際に曲げてみるとこうなります。~

&ref(joint30.jpg);~

被覆の中まで染み込んだハンダ+熱収縮チューブの補強で段階的に曲げストレスを逃がしてるので、接続部を直接折らない限りは大丈夫です。~
そして無理矢理捻り回してみると・・・~

&ref(joint31.jpg);~

このようにヒシチューブの境目で切れるんです。~
引っ張り強度は、実際に引き千切ってみると・・・~

&ref(joint32.jpg);~

接続部右側は予備ハンダが入ってて、本来は被覆に隠れてる部分です。~
要するに
&256x(32){被覆ズレる程引っ張らないと切れない};
ワケです。~
これで切れるなと言うなら、もう電線自体の強度から考慮せねばいけないというか、~
&256x(42){接続するな};
っちゅー事です。~
接続点を作ると、生の電線以上の信頼性は絶対に確保出来ないからね。~
実際[[アルト>車/アルトエポ]]はコレで2年、5バルブスワップのハチロクのエンジンルームでもコレ書いてる現在で、え〜と7年は軽く経過してるか。~
もちろん現在も絶好調で走ってるし、[[マゴソ>車/マゴソ]]も現在4年目、JZA63も問題無しです。~

欠点は、太い電線や複数本の同時接続には向かない事。~
接続自体は可能ですが、段差が大きく出るので接続部の角を熱収縮チューブで保護しきれなくなります。~
まあ1.25sqeまでなら大丈夫ですし、3.5seqでも熱収縮チューブ2つ入れば大丈夫。~
ソレ以上は素直にリングスリーブ接続&自己誘着テープでの処理をオススメします。~
それとコレが一番のネックかもしれませんが、~
&256x(42){ハンダのスキルが重要};
な部分でしょうか。~
ハンダに慣れてしまえば、予備ハンダ時の濡れ方だけで判断出来るようになりますが、知らない人はそうは行かない。~
ちなみに予備ハンダが上手く行ってるかどうかは折り曲げてみれば簡単に判ります。~

&ref(joint33.jpg);~

折れ曲がる部分が被覆の部分に来るのが正解です。~
コレが百発百中で出せればOK。~
自信の無い人は素直に絡げ接続かリングスリーブなどで接続しても強度は変わりませんから、無理しなくても良いと思います。~

さて、最後にオマケで、スピーカーケーブルの接続や、工作機械の電源ケーブルを切ってしまい修理する時の一工夫。~
普通は大体はこんな感じで接続し絶縁すると思います。~

&ref(joint34.jpg);~

でもコレでは、もし絶縁物が取れた場合、ショートしてしまうのです。~
そこで電線を切り被覆を剥く時に一工夫してやります。~

&ref(joint37.jpg);~

このように、+と−を入れ替え、先端を揃えてから片方だけを切ります。~
そして被覆を剥き、+と−を合わせ接続すると・・・~

&ref(joint38.jpg);~

接続位置がズレてくれます。~
こうしておけば信頼性も上がりますし、見た目にもキッチリ長さが揃ってキレイだし、なによりもプロっぽく仕上がります。~

&ref(joint39.jpg);~

つまらん事ですけど、ちょっと覚えておくと良いでしょう。~

***コメント [#cf2a866c]
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