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ブレーキオーバーホールの巻

キャブ直して試乗したときに、おおいに気になっていたのだが、 とりあえずリアブレーキは終わっている。
全く効かない。ペダルを踏んでも動こうともしない。
これは完全にオーバーホールしないと直らない。

フロントも一応効くが、レバーのタッチがぎこちなく、 ゴリゴリといったカンジになっている。
たぶんシールが硬化し、長年放置されフリュードが変質し、 スラッジが溜まっているのが予想される。
そこで全オーバーホールに踏み切った。

手始めにリアのドラムブレーキから始める。
早速バラしてみると、見事にグリスが抜け、固着していた。

rb_1.jpg

ブレーキシューも相当減っており、これは確実に交換ですね。
それ以外は不都合はないし、簡単に修理可能だ。

ブレーキシューを取り外し、カムシャフトを抜き取る。
これは固着しているので、そう簡単には抜けない。
フラットポンチでドツきまわってようやく抜けた。

rb_cam.jpg

パーツを洗浄し、カムシャフトのサビとスラッジをカップブラシで磨き倒す。
そしてドラム内のサビを100番のペーパーで落としておく。

あとは組むだけだ。仕組みが単純なだけにメンテも簡単です。
ただ命預けている部分なだけに、手を抜いてはいけません。
各摺動部にモリブデングリスを塗る。
これを忘れたら動きが渋くなる所か、ブレーキ鳴きがひどくなり、 とっても不愉快な思いをすることになる。
といっても、ドラム内部やブレーキシューには絶対油分つけてはいけないぞ。

更にブレーキシューの面取りを行う。
四辺の角をヤスリで面取りしてしまう。

rb_pad1.jpg

これを行っておけば、馴染みが早くなり、ブレーキ鳴きもでにくくなる。
シュー表面も100番程度のペーパーで荒らしておけばよいのだが、 手で曲面を擦り、一部だけ多く削れてしまうと接地面積が減り、 効きが甘くなりかねないので、自信の無い人はやめておこう。

つづいてフロントのディスクブレーキだが、初めのうちはちょっと厄介だ。
ちょっと特殊な工具がいるし、精密部品なので、組み方を間違えると大変なことになる。
でも工具さえあればそう難しい作業でもないし、 デリケートなだけで仕組み自体は単純だから、メンテ好きな人はチャレンジしてみよう。 まずマスターシリンダから行った。
手始めに全体をよく洗う。
バラしてから洗うと、内部に砂などが入りかねない。
入ってしまい、傷が付いたらちょっと厄介なことになるので・・・
外面の汚れを取ったら早速バラしに入るまえに、 我が身の手もキレイに洗っておきましょう。

上の写真が全部品なのだが、思ったよりは部品少ないでしょ?

ms_all.jpg

でも立派な精密機械なので、扱いは

自分の彼女より丁寧に

扱ってください。キズものにすると大変なので。

シリンダーを覗いてみると、やはりスラッジが溜まっている。
摩耗はそれほどでもないのだが、少し変な当たりが出ているかな?
指でなぞってみるほど大きな穴ではないので、 段付きが出ているか確認は出来なかったが、一応修正しておいたほうが良さそうだ。

ms_slage.jpg

シールには傷などは入っていない。まだまだ再使用に耐えそうだが、 これは縁起物なので新品交換しておく。どうせ安いものだし。

シリンダー本体を洗浄する。
ブレーキクリーナーなどを使って、スラッジをキレイに落とそう。
間違ってもドライバーなどでほじってはいけない。
シリンダーはキレイな面が命ですから。
俺の場合はブレーキクリーナー買う金がもったいないので、 ママレモンを使って洗浄している。
洗った後でキチンと乾燥させれば何の問題も無い。
ただ完璧に乾燥させる手段があっての話だが。

シリンダーの当たりを出すためにホーニングを行う。
しかしこんな細い砥石はないので、 車載工具の差し替えドライバーをボール盤にくわえ、 そこにスチールウールを巻き付け、簡易ホーニングマシンを作った。
ちょっと大袈裟だな。(笑

そして新品のピストンを組上げる。
シリコングリスを薄く塗り、指だけでシールを滑らしながら入れていく。
これをペンチなのでつまんでしまうと終わりである。
ちなみのこのピストンのスプリング、テーパー状になっており、 くれぐれも方向を間違わないように。

ms_piston.jpg

シールの摺動部にシリコングリスを薄く塗り、慎重に組み付ける。
この段階で引っかかるような手応えがあったら大変。
再度バラし、点検すること。

あとはブレーキレバーや蓋などを組み付ければ終わり。
慣れれば1時間もかかりません。
ひとつ忘れがちな所ですが、蓋にエア抜きの通路があるはずです。
ここもちゃんと清掃しておくこと。

ms_air1.jpg

ms_air2.jpg

これを忘れると、最初のうちはいいが、そのうちパッドが摩耗し、 フリュードが少なくなってくるとここが負圧になり、 キャリパーのピストンが引っ張り戻されることになってしまう。 もちろんブレーキレバーの軸受けも清掃し、グリスを塗って組み付けよう。

さて、今度はブレーキキャリパーのオーバーホールだ。
これも分解前にパッドを外しておき、キレイにしておく。
ピストンの抜き方は、ウエスを当てがっておき、 ブレーキホースの取り付け口から、 エアガンでエアを吹き込んで押し出すのが一般的でしょう。

しかしコンプレッサーなどという

文明の利器

などないという方は、ピストンを抜く特殊工具などもありますが、 これ買うくらいなら3万円のコンプレッサーを買ってしまいましょう。
これがあるだけで、メンテの幅は大きく広がります。

それでも金が無いなら、マスターシリンダをつけたまま、 パッドだけ外し、ブレーキをガンガン握ります。
するとパコンとピストン出てきます。 これは錆付いてエアガンごときではビクともしないピストンにも有効です。

さて、次の写真が分解したキャリパーの部品です。

bc_all.jpg

このキャリパーは程度悪いです。
シリンダーのシール溝にはスラッジが固着し、 ピストンはサビ付き巣が入っている。

bc_bad1.jpg

bc_bad2.jpg

特にこのピストンの巣は即交換対象なんですが、 次回オーバーホール時必ず交換するという言い訳で、 今回に限り使用することに決定。
ええ、金ないんっすよ。

さて、まずはシール溝の清掃です。
ここにスラッジが入り込み、キレイな真円が出なくなると、 ピストンとの当たりが悪くなり、フリュード漏れや戻り不良、 引っ掛かりが発生し易くなります。
ここはスチールタワシで磨き、毎度おなじみママレモンで洗浄後、 水を切った上でホットガンを使い乾燥させました。
くどいようですが、水分を残さないように。

そして今回新たに導入した、ドリルにつけて使えるホーニング砥石です。
たったの1000円!

honing1.jpg

これをボール盤にセットし、シリンダーをホーニングしました。
仕上がりはバッチリ!これはいいぞ。
原付のシリンダー程度ならこれでホーニング出来そうだな。

ピストンはカップブラシでサビを落とした後、 600番のペーパーを使い仕上げした。
見事に巣が入っているが、これはしょうがない。
次回交換ということで・・・

あとはシリコングリスを塗り組み立てる。
こっちはマスターシリンダーよりも簡単。ピストン入れるだけだし。
あとはフォークに取り付け、ホースをつけ、ブレーキのエア抜きだ。

エア抜きの写真を撮り忘れたので、いづれ載せたいと思っていますが、 要は必要以上に納得行くまでしつこくやること。
ブレーキフリュードを1リッター使ったとしても、 妥協せずに確実にエア抜きすること。
ブレーキのフィーリングもそうだが、

命を預ける部分

なだけに、確実に作業しよう。

これで車体自体は完成した。
あとは外装をリフレッシュして完成だ!


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