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屁理屈

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一応ウチには万全ではないのだが、一般人に比べれば遥かに色々な機材が揃っている。
7.5馬力エアコンプレッサー、200V動力のアーク溶接機、ガス溶接機、 アセチレン切断機、ダイアモンドチップの高速カッター他多数。
そういう意味

かなり反則

に近いのだが、それでも旋盤&フライス、TIG溶接機などの

最終兵器

は所有していない。(欲しぃぃぃい!*1
実際今回のようなジェットエンジンをこしらえるのに使ってる主な機材と言えば、一般個人でも十分購入可能な7000円小型ボール盤や安物のキリ、サンダーや金ノコ程度のモノである。
俺の場合重加工機器があるから、

その場その場の現物合わせ

でどうにでも出来てしまうんだけど、そういう加工が出来ないのであれば・・・例えば溶接が使えないのなら溶接以外の接合方法・・・ボルト止めなどを選べば良いし、切った貼ったの加工が簡単に出来ないのであれば、最初から正確な図面を書き、パーツ1つづつを寸法通り作って組み立てれば辻褄合わせなんてのは必要無いのだ。
さらに加工が面倒であれば、最小限の加工で済むような形状のモノを、同じ分野にこだわらず、様々な所から探して来るのだ。
例えば土木、上水下水、台所用品などなど。

とまあこんなカッコ良い事言ってるけど、当の本人は

設計図ぅ?
んな面倒なモン書いてられっか!

と言う人間だからして、ココで正確な図面を掲載出来る訳ではない。
前回も今回も、さらにその後も正確な図面や明確な理論は無いであろう。
けどポイントさえ押さえれば、その程度の技術でも簡単に作れてしまう。
ターボチャージャー流用ジェットエンジンってのは、実は思ってる程難しい訳ではないのだ。

ジェットエンジンを作る上で一番難しいのは材料と効率なのだ。
前回も散々言ったけど

理屈自体は超簡単

なのである。
そして、ターボチャージャーを流用する事により、本当に難しい部分は全て無視出来てしまう。
ご丁寧にもIHIなどの

モノホンを作ってる会社

がホンモノに使う技術を使って、超高温に耐え、超高回転を可能にするタービン、 コンプレッサーなど、一番難しい所をご丁寧にも作ってくれてるのだ。
我々は効率良く大量の燃料を焚ける燃焼機を作るのに専念すればOKなのだ。
ぶっちゃけた話

高性能なガスバーナー

を作れば良いだけなのだ!

てなモンで実際にブツをでっち上げる前に、ジェットエンジン=オープンサイクルガスタービンの仕組みなどを軽く復習しておきやしょう。

jet0101.png

とにかく最初は軸が回っていると考えておこう。
軸が回ってコンプレッサーが回り、空気を吸って燃焼機に押し込む訳ですわ。
で、空気がギュ〜っと詰まったトコで燃料を打ち、ウラァ〜っと燃やす。
すると空気が熱で膨張し、燃焼機に入ってきた空気の体積のウン10倍やウン100倍に膨れ上がるんですな。
膨れ上がって行き場を失った燃焼ガスは、エラい勢いで外へと逃げようとする訳ですわ。
しかし外に逃げる前にクソ重いタービンが逃げ道を邪魔してるんだよね。
外に逃げたいガスがタービンを押して回して、やっとこさ外に出られる訳ですわ。
んでタービンが押されて回ったってコトは、コンプレッサーも回っちまうよね?
するとまた空気吸い込んで・・・と、これが延々と繰り返される。
とまあ、こんな仕組みで回るワケですわ。(余計わからんか・・・

で、ちょっと細かい部分の説明をしようかな。
俺も最初疑問に思った事なんだけど、圧縮された空気の中で燃料燃やして膨張させるのはいいんだけど、コンプレッサー側に

なんで逆流しね〜んだ?

とエラい不思議に思った。
その答えは・・・気体、液体ってヤツぁ

圧の高い所から低い所へ流れる

という当たり前の理由があるからなのだ。
圧縮空気は燃焼機で燃料燃やして高温高圧のガスになるんだけど、 高圧と言ってもコンプレッサー側の圧に比べれば

実は低い

んである。

jet0102.png

セコい絵で申し訳無いけど、燃焼機はこういった感じである。
空気室の圧縮空気は、体積は小さいけど密度と圧は高い。
燃焼室のガスは、体積は大きいが密度と圧は低いのだ。
実際に計ったワケじゃないけど、具体的に言えば空気圧が1キロあったとすれば、 燃焼ガスの圧は0.5キロとかそんなモンなのだ。
コンプレッサーは空気を圧縮して体積辺りの酸素量を増やす役割もあるけど、それ以上に

燃焼の圧に打ち勝つだけの空気圧

を作り出すのが重要なのだ。
燃焼室のガスから見れば、コンプレッサー側はいくら穴が開いていようが

壁以外の何物でもない

ワケで、出て行く所は外へ通じるタービン側しか無い。
だから逆流しないってワケ。

ココでちょっと頭の回転が速いヤツぁ、

ぢゃあ燃焼に使う空気は知れている?

と考える。
そうなのだ。その通りなのだ。
実際に燃焼の為に使ってる空気なんて数十%程なのだ。
俺は専門分野の勉強した訳ぢゃないし、そもそも

数学以前に算数すら出来ない

ので計算して割合をキチンと出せるワケぢゃないので勘だけど、 燃焼に使ってる空気なんて20%程ぢゃないかな。
正味な話、逆流を防ぐ為の空気圧を保つために、コンプレッサーを回していると思えばOKだ。
ぢゃあモノホンはなんで軸流ファン12段だとかで大気圧の6倍みたいな

キチガイな高圧

を捻り出してるのかと言えば、欲しい排出ガスの圧がそれだけ高いだけの事なのだ。
ソレに打ち勝つには、そんなキチガイな空気圧が必要なのだ。

さて、おさらいはこんなモンかな?
てなモンで、上で能書きタレたような状態を作り出せるブツを実際にこしらえるワケですわ。
更に燃料が一番効率良く燃えれる量の空気をうまく混ぜてやる工夫、 エラい勢いで流れる空気の中で、炎が吹き飛ばされないようにする工夫に、 燃焼の熱で燃焼機自体が

熔けて吹き飛ばない

ようにする工夫も必要だ。
先人が捻り出して来たこれらの工夫を今から説明してみようと思う。

まず、燃料を効率良く安定させて燃やすには程良い酸素が必要。
酸素が多すぎたらアッと言う間に燃えてしまう。
そうなれば、新たな燃料が来るまでに燃え尽きてしまい火が消えてしまうのだ。
だからって酸素が少なければ燃焼温度は上がらないし、 そもそも燃焼速度が遅いので、一生懸命燃えてる間に新しく入ってくる空気に

押し出されてしまう

のだ。
これを上手くコントロールするのがガスバーナー設計のツボだ。
んで、コレの良いお手本がカセットコンロバーナーなのだ。

jet2_13.jpg

スゲー簡単な構造でこんなもん何がジェットエンジンと関係あるんだよってな声が聞こえそうだが、

んなこたぁない

大きさは違えど、基本的な構造は

全く一緒

なんですわ。
と言うか、ガスバーナーの基本がすべて詰っている格好の教材なんですわ。

jet0103.png

またまたしょーもない絵だけど、カセットコンロバーナーの基本はこんな感じ。
ガスが燃えるにはまず最初に何が必要かと言えば酸素。これは当然。
だからどうにかして酸素を入れてやらんことには燃える事が出来ませんわな。
で、筒に穴を開けて空気を入れてやるんだけど、この穴はただ開けりゃいいってモンでなくて、 多過ぎても少な過ぎてもダメ。
そして穴の場所もこれまたエラい重要なのだ。
まず一度火が付いたら燃焼を始めてすぐに消えてしまったら意味が無い。
絶えず燃えつづける連続燃焼でないと意味が無い。
この連続燃焼をさせるには

保炎

が必要。
この単語は

明日のテストに絶対に出る

のでよ〜く覚えておきましょう。
なぜこんなモンが必要かと言いますと、ガスに酸素放り込んで燃やすんだけど、 どのような状態でも完璧な空燃費で混合ガスを送れるのならこんな面倒なモンはいらない。
けど実際は弱火から強火になったり、横や縦方向に向けられたり、 風が吹いて来たりして空燃費は変化してしまう。
空燃費が濃くなると酸素が不足し燃焼温度が下がり、燃焼速度も低下する。
そうなれば燃焼が間に合わなくなり筒の外で燃えてしまう。
反対に薄くなると、燃焼速度が上がり過ぎて、 新たなガスが来るまでに一気に燃え尽きてしまって炎は消えてしまう。
だから燃焼速度は遅くていいから、一部に

移動しない炎

を作っておくのだ。
これを種火にして常に燃焼が持続されるのだ。

この保炎状態を作るには、上の絵にも書いてあるような

循環域

が必要になる。
これもテストに出るのでよ〜く覚えておこう。
空気を混合する所より前で、ガスと空気が混ざった混合気が再循環するように・・・ぶっちゃけた話

渦巻いてる混合気の澱み

を作るのだ。
渦を巻いてるから、比較的遅い速度で同じ場所をグルグル回ってる。
炎はその場所で絶えず留まってるから、 その先でいくら過剰酸素燃焼されガスが燃え尽きようが、種火は消えないっちゅ〜ワケなんですわ。

で、保炎に重要なのは逆流域ともう1つ、ガスの濃い所と薄い所をキッチリ作っておくこと。
まあ逆流域と同じなんだけど、何度も言ってるようにガスが濃いと中々燃えない、 薄いとあっと言うまに燃え尽きる。
けど丁度良い加減を維持するのは非常に難しいのだ。
だから保炎専用にかなり濃くて流れが遅い部分を作るのと、 完全に燃やし尽くす為にガンガン空気を入れる薄い部分を明確に別けておくのだ。
そうしておけば、濃い部分では絶対に火は消えないし、 一度燃え始めてしまえば後は炎自身が欲しい空気を自分で取り込んで燃え尽きてくれる。

特にジェットエンジンのような、低回転から高回転まで常に空燃費が変化し、 強烈な空気をブチ込んで高負荷&過剰酸素燃焼という過酷な状態で安定して燃焼させるには、 保炎はどうしても押さえておかねばならんツボなんですわ。
言い方変えれば、ココさえキッチリ出来たら、 後はテキトーにガンガン空気打って燃料押し込むだけで

己が熔けるまで燃え続ける

んですわ。

さて、コレを零號機の燃焼機に当てはめるとこうなる。

jet01201.jpg

とまあエラそうに書いてるけど、実の所俺も完璧には理解してないので、 詳しくはこの本でも買って勉強してくだされ。
んでバカな俺に

違うわボケ!

と説教の1つでも垂れた後、詳しく教えてください。
まあ高い本だけど、俺もこの本のおかげで確実に燃える燃焼機をサクサクっと作れるようになりました。
絶対に損はしないです。

買え!

さて、眠たい能書きなんぞこの程度にしておいて、そろそろブツをこしらえてみやしょうか。


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*1 今コレをpukiwikiにコンバートしてる今、とうとう揃えてしまったのだが・・・(^^;
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