殴り込み †
さて、正月早々殺人くんが出来あがったので、とりあえず登録してナンバーを取ろう。
しかし、姫路市役所はどうも融通が利かないらしいのだ。
というのも、原付の2種登録をするのに、
バイク屋か整備士のハンコ
を貰って来いと言いやがる。
別に無資格者でも法律では問題なかろう?と言っても、とりあえずアカンと言いやがる。
こんなトコで無駄に時間を食うのは嫌なので、普通にディオとして登録してしまおう。
書類を書いて、ハンコ持って市役所に出かけた。
係のおねーさんに、「こんなんでエエの?」と差し出すと、
「ハイハイ、結構ですよ〜」と待つこと数分、
何の咎めも無しに真新しいナンバーが差し出された。
ふふふ、まさかこのナンバーのバイクが、
頭抱える問題児
とは思うまい。
本来なら自賠責を入れるんだけど、もし警察に殴り込んだ際に、
決定的なダメ押し
を食らったら痛いので、今回は自賠責加入を見送った。
とりあえず殺人くんは、イチからフレームを起こした訳ではなく、
あくまでもディオの改造車
なので、もう登録してるという事実は結構脅しになるであろう。
無登録で警察に殴り込んだら、
頼むから登録せんといて
と言われそうだからだ。
そんなこんなで、貰ったナンバーを殺人くんに取りつけ、 軽トラに積み込む。
無論今から
国家権力の威厳を試しに行く
のである。
さすがに俺も免許の点数が惜しいので、実際に公道を流して捕まるまで待つような
漢義
は持ち合わせていない。
万が一の事を考えると、やっぱヤバいでしょうしね。
それ以前に現在自賠責に加入していないから、乗って行った時点で
免停確定
だからね。
軽トラに乗せられた殺人くんは、どことなく寂しそうに感じる。
ほら、歌にもあったじゃない。
可愛そうなウンタラ〜って。
荷台で揺られる殺人くんをバックミラーで見ながら、警察に出発。
するとミラーに見なれた車が映っている。
あ、オヤジや。(笑
当然軽トラの後ろに乗っている可愛そうな小牛を見て、オヤジは一言言う。
ホンマに警察行くんか?
とニヤニヤしながら言い放った。
真っ当な親ならここで
息子の愚行
を止めようとするモンだが、ウチの場合は
やるんやったらトコトンやれ
という方針で育てられてるので咎め無しだ。
ちょっと今から行う無謀な行為にドキドキしながら、車は地元の某警察に到着した。
さすがに俺の実例出して、認めろと違法改造車持って行かれると俺も責任持てんので、あえて名前は伏せておこう。
けど姫路の人間ならイッパツで分かるだろうな。
で、受付に行って、早速相談してみる。
オレ:「すんませ〜ん」 受付:「ハイ、なんでしょう?」 オレ:「あのですねぇ、原付の改造について伺いたいんですけど・・・」 受付:「は?」 オレ:「いや、バイクを改造してみたんですけど、整備不良にならないか自信がないんで・・・」 受付:「ああ、改造したらあかんがな」 オレ:「いやぁ、改造も違法と合法ありますやん?」 受付:「え、いや・・・、アカンやろそれは・・・」 オレ:「とりあえず現物持って来てるから見てもらえます?」
受付の警官さん、奥に消える・・・
担当:「え〜、原付を改造しはったんかいな?」 オレ:「はい、自分なりに調べた範囲やったら合法やと思うんやけどねぇ」 担当:「どんな改造?パリパリうるさいマフラーとかやったらアカンで。」 オレ:「いやいや、そんなんちゃいます。まあイッペン見て貰えます?」 担当:「で、どないせぇって?」 オレ:「まあ道路で出くわしたら整備不良でキップ切るか切らへんか判断して貰いたいんですわ」
担当?らしき警官さんと外へ・・・
オレ:「コレなんやけどねぇ」 担当:(しばらく声も出ない) 担当:「いや、え〜と・・・ええ?」 オレ:(登録票を出しながら)「一応このAF27っちゅうスクーターの改造車なんですわ。」 担当:「え?どないなっとるん?」 オレ:「えとですね、ココらへんまで元々のAF27っちゅうスクーターで、 ソレ以外を全部切りとって自転車ひっつけたんですわ。」 担当:「え?ええ?」 オレ:「そやからねえ、ここにフレーム番号あるでしょ?ここが元のスクーターで、 ソレ以外が全部違いますねん。フレーム切ったらアカンって法律無いでしょ?」 担当:「う〜ん・・・ウインカーとか全部ついてんのやなぁ?」 オレ:「ついとんで〜。これ整備不良になりますやろか?」 担当:「う〜んワシゃわからん。ちょっと呼んで来るわ。」
待つこと数分、結構エラそうな人がやってくる。
オレ :「すんません。手間掛けます。」 担当1:「これなんやけどなぁ」 担当2:(しばらく絶句) 担当2:「これをどないしてんやの?」 オレ :「いやぁ、どないする言われたら困るんやけどね」 担当2:「これで道路走るんかいな?」 オレ :「いや、せっかく作ったモンやから、どうせやったら 道走らせてみたいな思うてね。」
挑戦やなんかよー言えんがな!
担当2:「自賠責入っとるんか?」 オレ :「いや、今さっき登録したばっかりやで、まだ入れてへんのやけどね。 走ってもええんやったらソラ自賠責入れますよ。」 担当2:「・・・・で、これが違法かどうかっちゅうこっちゃな?」 オレ :「ハイ、どないですか?」 担当2:「う〜ん・・・当然ライトもウインカーも光るんやろ?」 オレ :「当然ですよ。」 担当2:「で、どういう改造なん?」 オレ :(再度改造の概要を説明) 担当2:「う〜ん・・・難しいで。ワシこんなん初めてやでなぁ。(苦笑」 担当2:「なんかこういう関係の仕事してんの?」
さりげなく素性を聞いてきやがったな。(^^;
オレ :「まあ車屋なんやけど、これは自分の遊びですわ。」 担当1:「コレ何?」(とピカールのタンクを指す) オレ :「ソレがガソリンタンク」 (一同爆笑) 担当2:「こんなん何分走れんの?」 オレ :「いやぁ、道走れたらそれでええんですわ。」 担当2:「う〜んまあ世界に1台しか無い自分のバイクっちゅう訳やね?」 オレ :「そそ、そんな感じ」 担当2:「さすがにワシらやったら判断出来んから、ちょっと本部に聞いてみるわ。」 担当1:「ちょっと待っとってね」
待つこと数分・・・
担当1:「ゴメンやけど、ちょっと写真撮らせてもらえます?」 担当2:「本部の方がそーわからんから写真送ってくれってなぁ。」 オレ :「ええですよ。このまま撮れます?」 担当1:(ポラロイド構えて・・・)「う〜んちょっと見えにくいなぁ」 オレ :「ほな降ろしますわ。」 担当2:「すんませんなぁ。」 オレ :「いやいや、こっちこそ面倒持ち込んでスンマセン」 担当2:「お、一人で降ろせるか?」 オレ :「いやいや、一人で充分行けますよ。」 担当2:「しかしよーこんなん作ったなぁ」 オレ :「いや〜、別のバイク直しとったゴミでコレ作り始めたら、こっち のんで面白うなってしもうてねぇ(笑」 担当1:「ホンマこんなんイジり始めたら面白いやろなぁ」 担当2:「角度こんなもんでええか?」 担当2:「ほな、これ送ってもうイッペン聞いてみるわな。」 オレ :「すんません、頼んます。」
思った以上の丁寧な対応に、少し申し訳無い気持ちになる。(^^;
待つこと2〜30分・・・
担当2:「いやぁ、お待たせしました。」 オレ :「どないでしたか?」
そして彼らは、ブ厚い法規の本を持って、色々指しながら説明を始めた・・・
担当2:「向こうの言うことにはね、保安機自体は問題無いと思うんやけどね、 これフレームを切って溶接してますやろ?」 オレ :「はい・・・」 担当2:「それがね、強度の保証とかどないなっとるんかっちゅうのんと、 形式認定と重さとか寸法とかちゃいますやろ?」 オレ :「はいはい」 担当2:「それがやね、陸事の方がどない言うかっちゅうトコらしいんですわ。」 オレ :「え?原付も陸事の管轄なん?」 担当2:「そうらしいんやわ。」 オレ :「ふ〜ん、ほなAF27型として形式認定されたバイクの改造車としては 通らん訳やね?」 担当2:「う〜んウチらではホンマわかりませんのや。」 担当2:「役所の方は現物見せてへんのやろ?」 オレ :(ギクゥ〜)「は、はい〜」 担当2:「役所は書類さえあったらナンバー出すもんなぁ。 とりあえず陸事で聞いてみ?」 担当2:「まあホンマにコレ以上はわからんのですわ。 あとは陸事で聞いてもらえますか? 陸事でOK出たら別に走ってもろうてもOKやろうということで。」 オレ :「ホンマ、色々調べてもろうてすんません。助かりました。 ほな陸事で聞いてみぃますわ。」 担当2:「OK出たら乗ってってやぁ」 オレ :「んぢゃ今から行ってきます。ホンマ手ぇ掛けさせてしもうてスンマセン」 担当2:「ええでええで、ウチも勉強になったわホンマ。(笑」
ホントに一生懸命調べて頂いて、ホント申し訳ないです。m(_ _)m オレはそうでもないんだけど、みんなは警察と言えば
問答無用でキップ切る根性悪
と思ってるだろう。
でもそれは交通違反を起こす、起こさないの前に、安全意識が欠けているとしか取れない受け答えをするからだし、追尾で捕まったからって文句言っても、それに気付かないような
危険な運転
してる方が余程悪いんだし、改造車を取り締まるのだって、オレから言わせても
ハッキリ言って迷惑
なバイクや車の改造車は、他の交通の安全上排除せねばならない。
なんでも「キップ切られた」だの「止められた」だのブーブー文句垂れる前に、もう少し自分の行動を考えてみて欲しいもんだ。
まあそれを考えても、ねずみ取りは卑怯だと思うけどね。
まあ愚痴はこれくらいにしといて、今度は近畿陸運局姫路自動車検査登録事務所車両課に殴り込みだ。
なんか長ったらしい名前だが、こんなのは通常
姫路の陸事の車両課
で良い。
だったらなぜ書くのかといえば、ただ単に
漢字が並んでいるのがカッコイイ
と思うからだ。(コラ
早速2階の車両課に行く。
ここはユーザー車検の相談や、改造車検についての相談も受けてくれる。
ここでとりあえず相談してみよう。
オレ:「すんませ〜ん」 係員:「はい?」 オレ:「原付の改造に関する問い合わせもここで良いんですか?」 係員:「はい、結構ですよ。」 オレ:「あのですねぇ、スクーターのエンジン部とフレームの車体番号だけ 残して切ってしまって、そこに自転車をひっつけたんですよ。」 係員:「ああ、自転車の前をつけたってことですよね?」
おお、さすが専門!話しが早い!!
オレ:「さっき警察で聞いたら、形式認定との違いと強度の証明はどうするのかと 聞かれたんですよ。」 係員:「そうですねぇ、原付に関しては明確な規定が無いんですよ。」 オレ:「そ、そうですよねぇ?」 係員:「形式認定というのは量産する段階で必要な物と思ってもらって結構です。 それに改造した結果、形式認定と違うからといっても申請しろという法律 も無いし、申請しなかったからと言っても、罰則は無いんですよ。」 オレ:「そうですよねぇ。原付の記載変更なんて聞いたことないですしね。」 係員:「そうですね。役所からしても、税金さえ納めてくれればそれで良い 程度だと思いますよ。(笑」 オレ:「ははぁ、じゃあ強度証明とかはどうなります?」 係員:「これも運行に差し支えの無い様にという程度しか規定が無いんですよ。 要するに生産者か改造した者が、自己責任の上で問題無い強度を確保 しないさいということだと思います。(笑」 オレ:「ということは、走って止まって曲がれて、危なくない程度の強度と 保安機さえあればOKってことですよね?」 係員:「そう思ってもらって良いと思いますよ。」 オレ:「いやぁ助かりました。どうも有難う御座います!」 係員:「はいはい、御苦労さまです〜」
という訳で、断言はしなかったけど、一応OKってことですね。
しかしやっぱ原付の法律なんてホントに
テキトー
であることを痛感した。
まあ一応
自転車
である以上、そんなにも難しい事を言えないだろうし、 まさか昔のお偉いさんは、
原付が100キロ以上出す
なんて時代を想定しとらんだろうしね。
とりあえず書類には明記されてはおらんけど、一応は合法だと
公認
が取れた訳だ。
これで堂々と公道を走る・・・訳にも行かんのだよなぁ。
とりあえず30キロ出すにもフラフラで、どこに飛んでいくかわかったもんぢゃないし、なにせ
出したスピード、
責任を持って止めなくてはならん
のだが、残念ながら
コイツにゃそんな芸当は出来ない
のである。
人の居ない所でコソコソと、スリルを味わうのが精一杯ですわ。
じゃあなんでそんなモノを作ったのかと言われると困る。
とりあえずフト思いついたアイディアが
正しかったのか実証してみたかった
ってな所だろうか。
それとやっぱり
保安基準への挑戦
ですね。
この2つを達成することが出来て満足しているし、とても勉強になりました。
こんな大それたことが成功したのも、皆様の知恵と応援があってのことです。
白井内燃機工業掲示板の常連の方々、原付チューンナップで助言を頂いた、ぺんちさん、ZOさん、啓史さん、さむぼさん、RISKYさん、あばうとさん、その他応援してくださった皆様、バカな遊びに付き合っていただいてありがとうございました。
でも一番迷惑掛けてしまったのは、某警察署のお二人でしょう。
こんなフザケた事に2時間も付き合わせてしまい、ホントにスンマセンでした。(^^;
陸事の帰りに報告とお礼に行ったのですが、
結構喜んで頂いた&自賠責の事など結構心配して頂いて、頭が下がるばかりです。
しかも、もし公道でモメた時には連絡してくれたらちゃんと説明までしてやると、頼んでもいない約束までして頂きました。
ホントなら温かいコーヒーでも差し上げたい所なんですが、さすがに相手の立場上無理なので、言葉だけのお礼で堪忍して頂きたい。